50) 「ともいき」「ともうみ」がつくった「手漉き和紙」、ユネスコ世界無形文化遺産に登録。

(「手漉き和紙」についての調査、取材のため、1か月ぐらい情報が遅れてしまいましたが、)ものの本によると、製紙技術は大陸伝来のものであり、7世紀初頭に製法を知る僧侶が朝鮮半島より来日したという記録が「日本書紀」に残っているそうです。大陸から伝わった技法 (溜め漉き )からやがて日本独自の「流し漉き」が考案されました。
原料のクワ科の植物「楮(コウゾ)」などの長い繊維を均一に絡み合わせるため、ネリと呼ばれる植物性粘液を加えた紙材液を流し、動かして漉き上げる技法です。(テレビで和紙の製造過程の映像が再々放映されたので覚えている方も多いでしょう。)
流し漉きにより、ごく薄く、しかも非常に丈夫な和紙がつくられるようになりました。(奈良・正倉院には702年の和紙を使った美濃、筑前、豊前の戸籍用紙が残っています。)
このようにしてつくられた「手漉き和紙」は、文字や絵を伝える媒体としてばかりでなく、生活の中に入って障子となり、行灯となり、扇などとなって日本人の暮らしや文化のなかに根付いてきました。そして、薬品を使うことなく真っ白な紙を漉くためには、清らかな水が欠かせません。和紙の伝統は日本の風土と深く結びついているのです。
「ともいき」と「ともうみ」という目に見えないジャパネスクが、和紙という目に見えるがジャパネスクをつくり上げました。ここにも「ともいき」と「ともうみ」が脈々と息づいています。
天然素材の手漉き和紙は、手間がかかり、効率が求められる現代の論理とは相いれないでしょう。しかし他に類を見ない質の高さが認められたのです。この伝統が途切れないように守っていきたいですね。

※注
1本美濃紙(岐阜県美濃市)、細川紙(埼玉県小川町、東秩父村>と既に登録済みの石州半紙 (島根県浜田市 )をグループ化した和紙製造技術として登録が決まりました。
2手漉き和紙の最大産地、「越前(福井県)」が登録から外れた理由は保存会組織がなかったことだそうです。福井県文化振興課では「これから生産者と連携して保存会を立ち上げ、追加登録につながる取り組みをしていきたい」と言っています。
3従来の和紙利用方法だけでなく、現代の生活の中で使われる和紙の利用開発、製品開発を進めるべきですね。「手漉き和紙」を使ったイノベーションに期待します。

 

 

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