⑤カール・ツュンベリー(スウェーデン)

 カール・ツュンベリー(スウェーデン)は植物学者で医者。
ケンペルと同じく東インド会社付属の医師となり、1775年(安永4)に長崎に上陸しました。
翌年商館長に随行して江戸で桂川甫周や中川淳庵らと交流し、各地で植物標本を集め、帰国後、『日本植物誌』などを著わし日本植物学の基礎を築きました。
ツュンベリーは植物を観察す傍ら、日本の自然と風景についても記録を残しています。
最初の長崎の印象は、長い入り組んだ港内を航行している間、我々は周囲の丘陵や山々が織りなす世界一美しい眺望に接した。
そこは頂上にいたるまで耕作されているのを見ることができた。
このような光景は、他の国ではほとんど見られないと述べています。
また旅の途中の町々についても、この国の美しさと快適さにおいて、かつてこんなにも気持ちのよい旅ができたのはオランダ以外にはなかったと言い、旅人たちのマナーにも目を向け、私は驚愕の目を見張った。
野蛮とは言わぬまでも、少なくとも洗練されてはいないと我々が考えていた日本人が、ことごとく理にかなった考えや、優れた規則に従っている様子を見せてくれたのであると驚き、これに反してヨーロッパでは道を旅する者は行儀をわきまえず、気配りを欠くことがしばしばあると嘆いています。
ツュンベリーの綿密な観察による日本紹介はケンペルやシーボルトと並ぶ卓越したもので、西洋人の科学的な日本認識をうながしました。

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