30) 釣忍(つりしのぶ)。

玄関の軒先に毎年、この時季に風鈴を下げた釣忍を吊るします。
(釣忍の忍は羊歯(しだ)植物で、樹上や岩に生じるので、この性質を利用して作ったのが釣忍です。)
風鈴が聴覚にうったえた涼感だとすれば、釣忍は視覚にうったえた涼感です。昔の人は五感が冴えていたので、こうした銷夏法で涼が取れたのでしょう。
都会では最近、あまり見られなくなりましたが、蒸し暑い夏に釣忍と風鈴は風情があります。家の者が出掛ける時、帰ってきた時、また訪問者に一瞬の涼を与え、目と耳を楽しませてくれます。
日本で生活する外国人にも是非、お知らせしたいものです。生活の知恵から生まれた日本のこのような小道具は、生きる毎日に味わいと潤いを与えてくれます。

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